全世界経済新聞

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【書評】入管問題とは何か

【書評】入管問題とは何か    鈴木江理子 ・児玉晃一=編著 

 

●本書を手に取ったきっかけ

 NHKの番組で、入管問題を扱っていた。

 人権侵害がどうとか、犯罪者扱いとか、外国の方の主張が理解できない。

 在留資格を更新して、ルール通り滞在すれば何の問題もないはず。不法滞在は違法で、当然犯罪だ。運転免許の期限を更新せずに車を運転しているのと同じ、犯罪。

 

 (ほとんど観ないが)民放であれば、スルーしていた。NHKで扱っているのだから、自分が理解できていない何かがあるのだろうと思い、本書を手に取った。

 

●本書の概要(私の理解)

・入管収容施設とは、在留資格の失効者と難民認定申請中の人が入れられる施設。

・入管収容施設の環境は劣悪。狭く、自由がない。職員による暴力や医療へのアクセス不備により、死亡する入所者多数。

・仮放免が認められても、働くことはできない。

・留学のための在留資格を得た方の事例。経済的理由により学校に通えなくなり、在留資格失効。その後、同棲者の暴力に耐えかねて交番に駆け込んだところ、入管法違反で逮捕、収容された。

・日本は難民認定基準が厳しく、帰国すると迫害されるクルド人(トルコ国籍)も認定されない。

 

 

星3つ★★★ 読む価値あり

 

●感想

収容施設の劣悪な環境には目を覆った。殺人犯のような扱いであまりにむごい。現状を大きく世に知らしめ、収容者を人として扱うべきだ。

また、日本の難民認定は、さすがに厳しすぎる。国に帰れない正当な理由があるのにも関わらず認定しないのはなぜか。人の命を救ってほしい。

一方、在留資格については人それぞれ失効理由があるため、一概には言えない。例えば留学で来日し、経済的理由で学校に通えなくなり資格失効した事例があった。来日前に想定できなかったのであろうか。また、危なくなった時点で、どこかに相談することはできなかったのだろうか。失効したまま、違法状態で在留し続ける理由は何だろうか。

 

生きるために逃げてきた難民認定申請者と、目的があって来日したものの在留資格が失効した人は、次元が違うと感じる。

 

とはいえ、日本全体の移民政策にかかわる問題は、どんどん議論が進んでいけば良いと思う。

個人的には移民大賛成。人口が減少していることもあるが、そもそも東京なのに日本人だらけというのは、先進国の首都として異質。ダイバーシティを叫びながら、中身がないと感じる。